いない・・・

どこに行っても、どこを探しても、いない・・・・

寮にも、学科にも、裏手の森にも、部屋にも、どこにもいない・・・

泣きすぎて、息もしずらい。
頭がショックで真っ白で、何も考えられない。
目の前にある現実を信じたくなくて、ただ、呆然と、部屋の前で見る。

何もない空っぽの部屋。

引っ越したのだろうか、だけど何も言わずにそんなはずがない。
ためしに寮の全部屋も探したけど、やっぱりいない。

そんな・・・
そんな、何も言わずに急にいなくなるなんて。
まるで、存在もしなかったように、姿を消し去るなんて。

私が何か悪いことをして、怒っているのかと思うじゃない。

でも、そのほうがずっとずっと良かった・・・
遠くから眺められても、それだけでもよかった・・・

彼女はもう、ここにいない。

現実を信じたくなくて、ただ空になった部屋の壁を叩く。手から血が出るんじゃないかと思うほど、ただひたすら泣いて、彼女のいた部屋の壁にすがりつく。

私は、人の気持ちをわかってあげられるほどのいい人じゃない。

だから、さきに出るのがお礼じゃない。

ふざけんな。
何も言わずに、人を置いていくな。

でも、もう一回会えるんだったら・・・
もっと、いい言葉がいえると思う。

友達でいてくれてありがとう。
最初の友達でいてくれてありがとう。
お弁当ありがとう。から揚げおいしかったよ。
お前の料理好きだったよ。おいしかったもん。
手合わせをしてくれてありがとう。めっちゃ楽しかったよ。

一緒にいてくれてありがとう・・・
それは、私の大事な支えだったよ。


でももう彼女はここにいない。

私にとって、とってもとっても大事な親友が。
何も言わずに去っていった。

彼女はここにいない。

・・・・裕子・・・・

ねぇ。帰ってくるかな。
私は、待っていればいいの？

人の気持ちをわかってあげられるほどの優しい人じゃないから。

ずっとずっと、馬鹿みたいに帰りを待つ。
ずっと。
編集


2009-03-04 22:09:28